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瑞石《みずいし》』という名に込めた想い』

更新日:2025年7月24日

― ヒスイと生きる道を選んだ私の原点 ―




『瑞石』という名前との出会い



私が『瑞石《みずいし》』という名前を手にしたのは、ヒスイと関わり始めて4年ほどが経った頃でした。


父がふとこんなことを口にしました。


『こんな言葉が降りてきたんだ。瑞石《みずいし》って言葉なんだよ。』


それまで私は『翡翠《かわせみ》』という活動名でヒスイに関わる活動をしていました。今改めて考えると、どこにでもあるような名前で、当時の私はヒスイの世界の入り口に立っていたに過ぎなかったように思います。


心からヒスイに向き合い始めたのは、その少し後のこと。大学を辞め、自分でホームページを立ち上げ、『ヒスイで生きていこう』と心に決めた時期です。誰かに決められた道ではなく、自分の手で未来を切り拓こうとしていました。


そんなある日、私は改めて『瑞石』という名前の意味を、自分で調べてみることにしました。



『瑞』の文字に宿る意味




調べるうちに、『瑞』という漢字には以下のような由来があることを知りました。


• 『王(=玉)』…すなわち「ヒスイ」を意味する


• 『耑(たん)』…髪をなびかせた神職の姿を表す


この二つが合わさることで、『瑞』は 『祈りを込めた神聖な玉』という意味を持つ文字であることがわかったのです。


私たちが普段使う『瑞々しい』や『おめでたい』という意味とはまた異なる、もっと深く、神聖な意味がそこにはありました。


そのことを知った瞬間、私は言葉にならない感動に包まれ、自然と涙がこぼれてきました。


糸魚川翡翠に込められた祈り、日本の信仰、大地の力…。そうしたものと響き合うように感じられる名前、それが「瑞石」だったのです。


まるで“何か大きな存在”が授けてくれた言葉のように感じられました。



糸魚川翡翠が秘める力と今の姿



私は『瑞石』という名に、日本の宝であるヒスイの象徴としての意味を込めました。

日本という国は、四季折々の自然に恵まれた瑞々しく、どこか神秘的な場所です。『瑞』という文字に象徴されるその豊かさと神聖さ、そして翡翠『玉』は、まさにその縮図のような存在だと私は思っています。


糸魚川翡翠は、山から川、そして海へと運ばれる長い旅路を経て、自然の中で生成される希少な天然鉱物です。その存在は、美しくも儚い――そんな不思議な魅力を放っています。



しかし、近年の環境開発や採集ブームの影響で、糸魚川翡翠を自然の中で見つけることは年々難しくなっています。特に昭和〜平成初期にかけて採集された高品質な原石は、すでに多くが加工品となり、原石のまま残されているものはわずかです。



地元でも『ただの綺麗な石』として扱われ、価値を知らぬまま個人間で取引されてきた現実がありました。



見失われた価値を、もう一度日本へ



東京の有名な鉱石店で『糸魚川翡翠はありますか?』と尋ねると、白く濁った低品質なものが置かれていることが多くあります。


一方で、隣に並ぶミャンマー産のヒスイは、透明感のある美しい翠色を放ち、見る者の目を奪います。


この並びを目にしたとき、『日本の翡翠ってこんなものなの?』と思われても無理はありません。 


ですが、それは糸魚川翡翠の本当の姿ではありません。


本当に質の高い糸魚川翡翠は、限られた人たちの手によって静かに守られています。流通に乗らず、表に出てこないがゆえに、『幻の石』とすら言える存在です。


私は、そうした“見えなくなってしまった本物の価値”を、もう一度日本に伝えたいと思っています。



翡翠と生きる。その先にある祈り



糸魚川に移住し、自分の足で歩き周り、実際にヒスイと向き合ってきました。

目で見て、手で触れ、心で感じたヒスイの力と存在感は、言葉にできないほどのものでした。


縄文時代の古墳からも出土する糸魚川翡翠は、かつて王族が身につけ、大切に祈りを込めた神聖な玉。



その翠色の輝きは、今もなお、日本人の深層に静かに響き続けています。


『瑞石』という名は、その記憶をもう一度呼び覚まし、現代に伝えていくための言葉。


それは、単なる宝石ブランドではありません。

祈りと記憶を受け継ぎ、日本の宝を未来へとつなぐ、小さな物語のはじまりなのです。



 
 
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